(徒然道草その20)人生はゲームと同じで、すぐリセットできる?
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(徒然道草その20)人生はゲームと同じで、すぐリセットできる?

2017年01月27日(金)1:52 PM

貧困・疫病・差別・紛争、人々の生活を脅かすこうした不幸のない社会。若者の一人一人の心に、勇気と夢と誇りを育むことのできる強い日本。世界中の民族や国々が固い信頼で結ばれる平和な時代。そんな未来に向けて、ささやかながらも余生を捧げたいという思いを秘めつつ、徘徊老人を演じている。

 強い日本とはどんな国のことだろうか。国土の広さ、人口の多さ、経済力や国防力の強さ、福祉や医療の充実、こういったものだけで、果たして強い国家は築けるであろうか。オリンピックで多くの金メダルを取ることは、確かにスポーツが目指す強い国ではある。ノーベル賞を受賞する優秀な人材が多いことは科学・技術立国として喜ばしいことである。ものづくりの素晴らしい技能、国民のおもてなしの心尽くし、日本はこうした誇るべき文化を持っている歴史の長い国である。しかし、国民一人一人の「志の高さ」はどうであろうか。

 昭和の大戦で一度滅びた日本は、植民地として国家の主権を失うことは免れ、アメリカの強い保護の下に「人権」「自由」「平等」といった民主主義を根付かせることに成功し、豊かな経済大国にはなった。しかし、超大国におもね、民族の誇りを忘れて、安易な米国依存症に陥っていないであろうか。 

 「若者よ、大志を抱け」

 だがどうも、現在の若者は心を蝕まれているような気がする。

 子供のころからゲーム機にどっぷりつかって育ったために、「人生はいつでもリセットできる」と考える癖が摺り込まれてしまった。物事に行き詰ると、すぐに諦めて放り出す。何事でもリセットしてしまえば、「ゼロ」から再び簡単にやり直しがきくという誤った意識から抜け出せないのではないか。

 国家にとって最も大切なのは、経済政策でも、国防政策でもなく、教育である。企業にとっても、決算で短期利益を上げることよりも、長期的視点で人材を育てることの方が、はるかに重要である。

 日本を飛び出して、海外で武者修行をする。こうした勇気を持った若者の育成、高い目標に向け挑戦することを重視する社会、これこそ日本が目指すべき教育指針である。一人でも多くの青年にチャンスを与え、背中を押す仕組みを作る。そこにこそ日本の経済力を活用すべきである。高齢化社会のために、年金や医療福祉にばっかり目を向けるのは行き過ぎだ。

「継続は力なり」。まさに、継続の源泉は人材であり、人々が等しく学べる自由、そして、貧しさゆえに教育を受けられないことのない社会をつくることに、日本はもっと情熱をもって取り組むべきである。 

 勿論、失敗もあるだろう。挑戦を繰り返しても、夢に届かないことも、金メダルを取れないこともあるだろう。その時こそ、「人生のリセット」という言葉が本当の意味を持つことになる。人生を諦めない「強い心」、やり直しをきちんと「評価する文化」があってこそ、「リセット」は可能だ。

 日本はかつて、明治維新という成功体験を持つ。人々の心に「日本という国家意識」を育み、あっという間に、民族と国家の強固な統一を成し遂げた。

しかし、このグローバル時代に必要なのは、愛国心を鼓舞したり、民族主義を煽ることではない。若者が「勇気と夢と誇り」を心に刻み、それぞれの道で成功体験を持てるような国、挫折しても再び立ち上がり挑戦できる意欲溢れる国、世界中に誇れる文化と伝統を守り国民も国家もともに「高い志」を共有する国、こうした「品格のある国家」こそ強い日本ではないだろうか。



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